第20回「ドジョウ」

 先日、娘と高松市のあるうどん屋さんへ「ドジョウうどん」を食べに行ってきました。白味噌の鍋仕立てで、ネギとゴボウがたっぷり入り、あっさりした味でとてもおいしかったです。残念ながら徳島県ではドジョウはあまり食べないようで、売られているのを見たことがありません。私は関東出身ですので、子どもの頃から魚屋の店先で樽に入れられたドジョウをよく見かけたものです。たくさんのドジョウがぐるぐる廻りながら時々水面にやってきては空気を飲み込み、お尻からあぶくを出しながら水底に戻っていく光景を興味深く思ったものです。
 さて、樽の中のドジョウの行動には意味があります。ドジョウの生息地は、主に平野部の田んぼや水路、沼などの湿地です。このような場所は一時的水域とも呼ばれ、雨が降り続けば、増水して一時的に水に浸かりますが、逆に水に乏しくなることもあります。また、このような場所は栄養分に富んでいるため、藻類が繁殖して、夜間には水中の酸素が乏しくなることもあります。ドジョウにとっては呼吸困難の危険と背中合わせというわけです。
 でも、大丈夫。ドジョウは空気呼吸という特殊能力を進化の過程で獲得したからです。空気呼吸をする魚は他にもいますが、そのやり方はいろいろです。ドジョウの場合、その名も腸呼吸といい、口から飲み込んだ空気を腸管内に密に分布する毛細血管でガス交換を行います。腸が肺の役割をしているわけです。ドジョウは魚ですので、当然、鰓呼吸もしていますが、水が乏しくなったときや、水中の酸素が少なくなったときに、腸呼吸によって補っているのです。
 ところで、私は幼い頃から魚屋の店先で慣れ親しんでいたせいか、高校生になると生物部に入り、選んだ研究テーマがドジョウの腸呼吸でした。水温を変えたり、背景の色を変えた
りして、それらがドジョウの腸呼吸の行動にどんな影響を及ぼすかを調べるために、毎日毎日、水槽の前に座り、ひたすら観察していたのでした。

 
シマドジョウ
▲ドジョウ
 
 
 
Copyright (c) 2008 吉野川交流推進会議 All Right Reserved